美術史の流れ

西洋美術史の流れを年表でざっくり見る

ルネサンスから現代アートまでを時代順に見渡し、気になった時代から詳しい記事へ進めます。 美術運動は同時進行するため、年表は一本道ではなく大きな見取り図として使ってください。

3つの時代から

迷ったら、この3つを通る

ルネサンスで「絵がどう組み立てられるか」を見て、印象派で「何を描くか」が揺れ、コンテンポラリーで「作品とは何か」が広がります。

  1. 14〜16世紀

    ルネサンス

    古典古代の再解釈と人文主義が広がり、遠近法や人体表現の更新が進んだ時代。

    ルネサンスとは?“見える世界”を作り直した時代の読み方
  2. 19世紀後半

    印象派

    近代都市と光の変化を捉える実験が、絵画の見方を更新した時代。

    印象派とは?モネ、ルノワール、ドガから特徴をつかむ
  3. 1970年代後半〜現在

    コンテンポラリー

    メディア横断で社会や制度を問い直す実践が中心となる時代。

    コンテンポラリーアート入門:「いまの美術」はどこから入ると面白い?

順番より、気になるところから

  • 写真

    記録技術として始まった写真が、芸術・都市観察・社会記録の媒体として大きく展開した時代。

  • 浮世絵と都市文化

    木版画の分業と流通が、都市の娯楽と視覚文化を拡大させた時代。

  • モダンアート

    フォーヴィスム、表現主義、キュビスム、抽象芸術が連鎖し、写実中心の枠組みが大きく更新された時代。

  • 戦後美術

    消費文化、身体表現、映像、制度批評が前景化し、戦後の美術言語が大きく広がった時代。

流れをたどる

まず通る3時代

美術史の大きな流れをつかむ3本です。時代ごとに、絵の前提がどう変わったかを追えます。

クロード・モネ《印象、日の出》

19世紀後半 / フランス

一瞬の光と日常を、絵の主役にした印象派

時代
19世紀後半のフランスを中心に広がった美術運動
起点
1874年、パリで開かれた第1回印象派展

港の霧に太陽が浮かび、木漏れ日が人々の服に落ち、踊り子は舞台裏で身体を休めます。印象派は神話や歴史の大事件に加え、移ろう光と同時代の日常を絵の中心へ置きました。モネ、ルノワール、ドガでは、同じ運動の中でも見る場所が違います。

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気になる時代から

順番より、気になるところから

写真、浮世絵、モダンアートなど、知っている言葉から選べます。

アルフレッド・スティーグリッツ《The Steerage》

19世紀半ば〜20世紀前半 / 写真

写真がアートになる瞬間:記録と表現のあいだをどう見る?

写真には、カメラの前にあったものが写ります。ただし、撮影者の背後やフレームの外は見えません。同じ街角でも、立つ場所とシャッターを切る時刻で別の一枚になります。写真を見るときは、写った事実を確かめたあと、その範囲を誰がどう選んだかへ進みます。

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エドゥアール・マネ《オランピア》

19世紀後半 / フランス

1863年、落選作にも観客が集まった

1863年、パリ・サロンの落選作を見せる別会場が開かれました。そこに掛かったマネ《草上の昼食》には、観客の笑いも批判も集まります。作品を選ぶ審査員の外側に、観客が自分で判断できる場所ができた。

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次の読み方

年表のあと、どこへ進む?

順番に読むアート史をまず一周したい

年表で気になった流れを、ルネサンスから現代までの学習コースで一度通せます。

思想で読む思想と社会から西洋美術をつなぐ

宗教、科学、制度、産業、無意識の変化から、作品が変わった理由をたどれます。

作品で見る作品別ガイド

時代名だけでなく、モナ・リザや神奈川沖浪裏など具体的な作品から読み始められます。

先に見る見る練習

説明を読む前に、1枚の作品で目を置く場所を短く試せます。

言葉を押さえる美術用語集

遠近法、構図、筆致など、時代の違いを読むときに効く言葉を確認できます。

  1. 14〜16世紀

    ルネサンス

    古典古代の再解釈と人文主義が広がり、遠近法や人体表現の更新が進んだ時代。

    814〜16世紀

    はじめに

    ルネサンスとは?“見える世界”を作り直した時代の読み方

    床の線は一点へ集まり、人物の身体には重さが戻ります。古代の神話や哲学も、当時の都市が求めた新しい画面へ生まれ変わりました。ルネサンスを『昔への回帰』だけで覚えると、この実験の勢いを見落とします。

  2. 17世紀

    バロック

    劇的な光と動勢で感情を強く喚起する表現が広がった時代。

    517世紀

    はじめに

    光が差した瞬間、絵は劇場になる。バロック美術入門

    暗闇へ光が差し、人物の手や皿が画面の外へせり出します。バロック美術は、出来事を遠くから眺めさせません。カラヴァッジョは強い明暗、レンブラントは動く群像、フェルメールは静かな室内を選びました。

  3. 17世紀 / オランダ共和国

    オランダ黄金時代

    都市市民の需要拡大を背景に、肖像画・風俗画・静物画が大きく発展した時代。

    617世紀 / オランダ共和国

    はじめに

    オランダ黄金時代とは?特徴・画家・代表作を整理

    《夜警》には、今にも歩き出しそうな市民隊が描かれています。フェルメールの《牛乳を注ぐ女》では、一人の女性が細い牛乳の流れに集中しています。にぎやかな群像と静かな台所。

  4. 18世紀末〜19世紀前半

    ロマン主義

    理性中心の時代に対し、歴史・自然・個人感情の強度を前景化した時代。

    918世紀末〜19世紀前半

    はじめに

    革命、嵐、霧の山。ロマン主義は感情をどう描いたか

    ドラクロワの群衆は旗の下へ押し寄せ、ターナーの船は嵐の中で輪郭を失います。フリードリヒの人物は、霧の山を前に立ち止まったままです。ロマン主義が扱ったのは、甘い感傷に限りません。

  5. 18世紀後半〜19世紀半ば

    新古典主義〜写実主義

    古代参照による秩序化から同時代の現実描写まで、美術の主題と制度が大きく組み替わった時代。

    1618世紀後半〜19世紀半ば

    はじめに

    新古典主義とは?古代・革命・ダヴィッドで見る特徴

    《ホラティウス兄弟の誓い》では剣と腕が硬い直線を作り、《マラーの死》では白い布と暗い背景が亡くなった人物を静かに浮かべます。古代風の衣装だけを探すより、線、姿勢、感情の抑え方を見ると、新古典主義が選んだ理想に近づけます。

  6. 17〜19世紀(江戸)

    浮世絵と都市文化

    木版画の分業と流通が、都市の娯楽と視覚文化を拡大させた時代。

    517〜19世紀(江戸)

    はじめに

    浮世絵とは?江戸の“画像メディア”として読む入門ガイド

    人気役者の姿、評判の美人、行ってみたい名所。浮世絵は美術館へ入る前、江戸の人々が『いま面白いもの』を手元で楽しむ画像メディアでした。何枚も刷り、売り、持ち帰れるから、流行へすばやく反応できる。

  7. 19世紀後半

    印象派

    近代都市と光の変化を捉える実験が、絵画の見方を更新した時代。

    519世紀後半

    はじめに

    一瞬の光と日常を、絵の主役にした印象派

    港の霧に太陽が浮かび、木漏れ日が人々の服に落ち、踊り子は舞台裏で身体を休めます。印象派は神話や歴史の大事件に加え、移ろう光と同時代の日常を絵の中心へ置きました。モネ、ルノワール、ドガでは、同じ運動の中でも見る場所が違います。

  8. 19世紀半ば〜20世紀半ば

    写真

    記録技術として始まった写真が、芸術・都市観察・社会記録の媒体として大きく展開した時代。

    3019世紀半ば〜20世紀半ば

    はじめに

    写真がアートになる瞬間:記録と表現のあいだをどう見る?

    写真には、カメラの前にあったものが写ります。ただし、撮影者の背後やフレームの外は見えません。同じ街角でも、立つ場所とシャッターを切る時刻で別の一枚になります。写真を見るときは、写った事実を確かめたあと、その範囲を誰がどう選んだかへ進みます。

  9. 1880-1910年代

    世紀末芸術

    象徴主義、ジャポニスム、アール・ヌーヴォーが交差し、近代美術の視覚語彙が大きく組み替わった時代。

    101880-1910年代

    はじめに

    新印象主義とは?点描だけではない1886年の転換点

    スーラの大画面へ近づくと、人物の服も芝生も小さな色の集まりにほどけます。数歩下がれば、粒は一つの光景に戻る。この距離による変化こそ、新印象主義を見る入口です。

  10. 20世紀前半

    モダンアート

    フォーヴィスム、表現主義、キュビスム、抽象芸術が連鎖し、写実中心の枠組みが大きく更新された時代。

    2420世紀前半

    はじめに

    1863年、落選作にも観客が集まった

    1863年、パリ・サロンの落選作を見せる別会場が開かれました。そこに掛かったマネ《草上の昼食》には、観客の笑いも批判も集まります。作品を選ぶ審査員の外側に、観客が自分で判断できる場所ができた。

  11. 1950-70年代

    戦後美術

    消費文化、身体表現、映像、制度批評が前景化し、戦後の美術言語が大きく広がった時代。

    231950-70年代

    はじめに

    スープ缶と漫画は、美術館でどう見える?

    スーパーなら数秒で通り過ぎる赤白の缶が、美術館では32枚続きます。漫画なら一瞬で読む爆発が、《Whaam!》では横幅4メートルを超えます。題材はよく知っているのに、見慣れた大きさと速度では見られません。

  12. 1970年代後半〜現在

    コンテンポラリー

    メディア横断で社会や制度を問い直す実践が中心となる時代。

    151970年代後半〜現在

    はじめに

    コンテンポラリーアート入門:「いまの美術」はどこから入ると面白い?

    展示室に巨大な蜘蛛が立ち、床には一億個の磁器の種が広がる。絵の上手さだけでは測れない作品を前にすると、戸惑うのは自然です。何でできているか、どれほど大きいか、自分の身体がどう動いたか。