最初は、『何が写っているか』でいい
写真を見るとき、最初から難しく考える必要はありません。何が写っているのかを、ふつうに確認するところから始めます。人物なのか、街なのか、風景なのか。それだけでも進めます。
ただ、写真はそこから先が面白いです。見えているものを確認したあとに、『なぜこう見えるのか』へ進むと、作品としての密度が立ち上がります。
次に見るのは、『どこから見ている写真か』
写真では、被写体そのものと同じくらい、撮った位置が重要です。少し高いのか、低いのか、近いのか、離れているのか。その違いだけで、写真の温度は大きく変わります。
たとえば近い距離なら親密さや圧迫感が出やすく、離れた距離なら観察の感じが強くなります。写真は対象だけでなく、対象との距離まで写しています。
『何が入っていて、何が切られているか』を見ると、選択が見える
写真は、見えていないものも大事です。フレームの外に押し出されたものがあるから、画面の中の意味が立ち上がります。人物の顔が少し切れている、看板が途中で終わっている、背景が省略されている。そういう切り方に作者の判断があります。
だから写真を見るときは、写っているものを数えるだけでなく、『ここで何を切ったのか』を見ると、作品の意図に近づけます。
写真では、光は説明より気分を作ることが多い
絵画でも光は大事ですが、写真では特に、光の当たり方がそのまま作品の空気を決めることが多いです。強い逆光なら線が硬くなり、柔らかな光なら気配が前に出ます。
だから『明るい』『暗い』で終わらず、どんな気分を作っている光なのかを見ると、写真が急に近くなります。風景でも人物でも、この見方はそのまま役立ちます。
最後に、『1枚として見せたいのか、並べて見せたいのか』を意識する
写真は1枚で完結することもあれば、シリーズや写真集の流れの中で意味が強くなることもあります。美術館や本で見るときは、その写真が単独で立っているのか、連なりの一部なのかも大きな手がかりです。
最初から全部読む必要はありません。『何が写っているか』『どこから見ているか』『何を切ったか』の3つだけでも見え方は変わります。そこから少しずつ広げれば足ります。
作品で見る
The Terminal / アルフレッド・スティーグリッツ(1892年)
どこから見て、何を残したかを見るだけで、写真の作られ方を追いやすい作品
画像を拡大画像出典Toward Los Angeles, California / ドロシア・ラング(1937年)
写っているものだけでなく、何を一緒に入れたかで意味が変わることがよくわかる写真
画像を拡大画像出典The Pond—Moonlight / エドワード・スタイケン(1904年)
何が写っているか以上に、光と気分を見ると一気に近づけるタイプの写真
詳しく読む画像を拡大画像出典 よくある質問
- 写真を見るとき、最初から深い意味を考えないとだめですか?
- そんなことはありません。何が写っているかを確認するだけでも始められます。そのあとに距離や切り取り方へ進むと、見方が増えていきます。
- 写真は絵画より簡単ですか?
- 身近ではありますが、簡単というより見方が少し違います。写っている事実の強さがあるぶん、選び方や距離感を見ると深く読めます。
- 最初に意識するなら一つだけ何がいいですか?
- 『どこから見ている写真か』を見てみるのが有効です。距離と高さがわかるだけで、写真の態度を追いやすくなります。
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