木の枝と海の水平線が、縦横の格子へ変わった

モンドリアンは最初から格子だけを描いていたわけではありません。木の枝を繰り返し描き、海と桟橋を縦線と横線へ置き換えながら、見える形を少しずつ単純にしました。

最後に残ったのが垂直と水平、赤・青・黄、白い余白です。要素が減ると、一つの線を太くするだけで画面の重さが変わります。単純になったぶん、判断の跡はかえって隠せません。

デ・ステイルでは、絵画と建築を同じ言葉で考えた

1917年に創刊された雑誌『De Stijl』には、画家だけでなく建築家やデザイナーも集まりました。モンドリアンも文章を寄せ、個人の気分や自然の形を越えた秩序を考えます。

その考えは色の少なさだけにあるのではありません。線の太さ、色面の大きさ、白の偏りが互いに釣り合うよう、画面のすべてを関係させています。

《コンポジションII》では、赤より白の広さが気になる

大きな赤い面はすぐ目に入ります。けれど長く見ていると、白い区画の広さや、右下の小さな黄が画面を支えていることが気になってきます。色面は同じ大きさにも、等間隔にも並んでいません。

黒線も一様ではありません。どこで太く見え、どの線が画面の端まで続くかを追うと、止まった格子の中で目だけが動きます。均等にしなかったことが、この画面の均衡を作っています。

同じ抽象画でも、残した形が違う

カンディンスキーは斜線や曲線を散らし、音が重なるような動きを作りました。マレーヴィチは正方形などの単純な形を、地から浮くように置きます。モンドリアンが残したのは、画面全体を区切る縦と横です。

三人を続けて見ると、抽象画が一つの様式ではないことが分かります。何を描かないかより、最後まで何を残したかを見ると違いを説明しやすくなります。

色を隠して、白い区画だけを見る

赤・青・黄を手で隠すつもりで、白い区画だけを見ます。大きさがそろっていないこと、右と左で詰まり方が違うことが分かれば、余白も描かれた形だと気づきます。

次に色を戻し、どこがいちばん重く見えるかを決めます。その重さを支える線と白を探せば、好き嫌いだけで終わらず、自分が見た構成を言葉にできます。

作品で見る

ピート・モンドリアン《コンポジションII(赤・青・黄)》
コンポジションII(赤・青・黄) / ピート・モンドリアン1930年
三原色と不ぞろいな白い区画が均衡を保つ代表作
画像を拡大画像出典
カジミール・マレーヴィチ《黒の正方形》
黒の正方形 / カジミール・マレーヴィチ1915年
一つの正方形を独立させた、別の幾何学抽象
画像を拡大画像出典
ワシリー・カンディンスキー《コンポジション8》
コンポジション8 / ワシリー・カンディンスキー1923年
斜線と曲線が画面を動かすカンディンスキーの抽象画
画像を拡大画像出典

よくある質問

モンドリアンの絵はどれも同じですか?
使う色と線が限られているため似て見えますが、色面の大きさ、線の太さ、白の配分は作品ごとに違います。二枚を並べて白い区画から比べると差が見つかります。
デ・ステイルとモンドリアンは同義ですか?
同じではありません。デ・ステイルは画家、建築家、デザイナーが関わった運動と雑誌の名で、モンドリアンは中心人物の一人です。
抽象画が苦手でも楽しめますか?
何かの形を当てる必要がないぶん、見えるものから始められます。黒線の太さ、色面の大きさ、白い区画の偏りを一つずつ比べてみてください。

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気になったところから、もう少し

次に1本読むデ・ステイルとは? 縦・横・三原色へ形を絞った理由

白地に黒い縦線と横線、赤・青・黄の色面。モンドリアンの絵は少ない要素でできています。それでも目が止まるのは、線と余白が均等に並ばず、画面の中で押し合っているからです。

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