本文に出てくる美術用語
題材を探して目が止まるのは自然なこと
人物、風景、物語を探す見方に慣れていれば、抽象画の前で立ち止まるのは自然です。明確な対象が見つからず、どこへ目を置けばよいか分からなくなります。
そこで色、線、形、面積、重心、反復へ目を移します。題材の代わりに、画面を組み立てている要素を一つ選べば、見る場所ができます。
画面でいちばん強い場所を一つ選ぶ
画面のどこが一番強く感じるかを探します。鮮やかな色なのか、速い線なのか、広い余白なのか。理由は後で構いません。
その場所から目がどちらへ動き、どこで止まり、どこで散るかを追います。作者の意図を当てる前に、自分の視線が画面から受けた働きを確かめられます。
三人の画家では、目を置く場所が違う
カンディンスキーでは、線、円、斜めの動きがつくるリズムを追います。マレーヴィチでは、極端に減らされた形の位置。モンドリアンでは、色面の広さと均衡を比べます。
三人へ同じ見方を当てる必要はありません。線が動く画面、少ない形が浮く画面、色面が釣り合う画面という違いから、それぞれの入口を選べます。
残された色、線、面を数える
何が描かれていないかを数える代わりに、残された要素を数えます。色は何色か。直線と曲線のどちらが多いか。余白は画面の何割ほどあるか。
少ない要素ほど、一つの位置や大きさが画面全体へ影響します。削った結果として何を残したかを見れば、『何も描いていない』という印象から具体的な構成へ進めます。
理解する前に、目で追える動きを見つける
最初の一枚で、すべてを理解する必要はありません。色の関係、視線の流れ、重心の偏りから、一つだけ言葉にします。
次の作品でも同じ観察を試してください。どこが強いか、目はどう動くか、何が残されたか。繰り返せる見方があると、二枚目、三枚目の違いを自分で説明できます。
作品で見る
よくある質問
- 抽象画の前で最初に止まるのは、どこを見るか決められないからですか?
- そのことが多いです。いちばん強い色、重く感じる形、よく繰り返される線から一つ選ぶと、視線を置く足場ができます。意味はそのあとで構いません。
- 何が描いてあるかわからないままでも、どこまで読めますか?
- 読めます。抽象画では、対象よりも画面の成り立ち自体が主題になっていることが多いので、構成を追う方が作品の芯に近づきやすいです。
- 最初の1枚を選ぶなら、どんなタイプの抽象画がよいですか?
- 形が少ないもの、線の動きがはっきりしているもの、均衡が読みやすいものの順で選ぶと追いやすいです。マレーヴィチ、カンディンスキー、モンドリアンは、その違いを確かめやすい並びです。








