本文に出てくる美術用語

現代美術インスタレーション

インスタレーションは、空間全体の構成や観客の体験を含めて成り立つ作品形式です。置かれた物と同じく、どこに立ち、どう動くかも作品の一部になります。

39席と999人で、1,038人になる

テーブルは三つの翼に分かれ、各翼に13席あります。合計39席。床にはさらに999人の名前が手書きされ、席の人物と床の人物を合わせると1,038人です。ブルックリン美術館では2007年から常設展示されています。

39人だけを主役、999人を背景と考えると、床の意味が薄くなります。足元の名前も作品の一部です。皿を見終えたら床へ視線を下げ、どの席の周囲に誰の名前が置かれているかまで追います。

一席は、皿一枚ではできていない

各席には、名前を刺繍したランナー、金色の陶器の杯と食器、ナプキン、彩色された磁器の皿があります。皿は直径14インチ、約35.6センチ。多くの皿には蝶や外陰部を思わせる立体的な形が使われています。

皿だけを切り抜いた画像では、刺繍の文字や布の技法、隣の席との距離が消えます。一人を選んだら、名前、布、器、皿の順に見てください。同じ食器が反復される一方で、各席の意匠は違います。

床は、2,000枚を超える三角形のタイル

ヘリテージ・フロアは、白い光沢のある三角形の磁器タイル2,000枚以上でできています。999人の名前は、調査チームが選び、手書きでタイルへ記しました。それぞれの名は、39席の人物との関係に沿って配置されています。

展示のそばには、999人の経歴を調べられるヘリテージ・パネルがあります。知らない名前に出会ったら、知識不足を恥じるより、どの席と結ばれているかを調べる。その往復まで作品が用意した読み方です。

ジュディ・シカゴ一人で作った作品ではない

制作は1974年から79年まで続き、数百人が参加しました。ブルックリン美術館の謝辞パネルには、制作・運営チーム129人の写真と名前があり、さらに295人・団体への謝辞が記されています。陶芸、刺繍、設営、写真、資料調査まで役割は多岐にわたります。

作者名だけを見て、シカゴが一人で39席を仕上げたと想像すると、作品の作られ方を取り逃がします。歴史から女性の仕事が消えてきたことを扱う作品だからこそ、その制作を支えた人々の名前も見る必要があります。

一席と、床の一人を組にして見る

会場では、最初から1,038人を覚えようとしなくてかまいません。気になった席を一つ選び、ランナーと皿を見ます。その近くの床から知らない名前を一つ拾い、二人の関係をヘリテージ・パネルで確かめます。

締めに少し離れ、48フィートの翼が作る全体へ戻ります。一組の関係を調べたあとなら、巨大な三角形の上に名前と手仕事が積み重なっていることを実感できます。

作品で見る

ジュディ・シカゴ《The Dinner Party》
The Dinner Party / ジュディ・シカゴ1974-79年
刺繍のランナー、杯、食器、皿、床の名前が一つの空間を作る
画像を拡大画像出典
ゲリラ・ガールズのポスター
Do women have to be naked to get into the Met. Museum? / ゲリラ・ガールズ1989年
誰が美術館で可視化され、誰が排除されてきたかを別の角度から突く作品
画像を拡大画像出典

よくある質問

《The Dinner Party》は、フェミニストアートを知らないと楽しめませんか?
予備知識がなくても見られます。一席を選んで名前、布、器、皿を順に見たあと、床から知らない名前を一つ拾ってください。作品が誰を記憶しようとしているか、具体的にたどれます。
なぜ三角形なのですか?
三つの翼に13席ずつ、合計39席を置く構造です。各辺は48フィートあるため、一方向から細部を見切ることはできず、鑑賞者は周囲を歩くことになります。
見た目が華やかで、批評的な作品には見えません。
刺繍、織物、陶芸など、長く美術の中心から外されがちだった技法を大規模に使っています。見た目の華やかさと、誰の仕事や名前が歴史に残されるのかという問いは同じ作品の中にあります。

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