北斎と《神奈川沖浪裏》
《神奈川沖浪裏》から北斎と浮世絵に入る
大波の読み方から、北斎・富士・浮世絵の面白さへ進みたいときに。
《神奈川沖浪裏》は、読み方やすごさを確認して終わるにはもったいない入口です。波、舟、小さな富士の関係を見たあと、北斎の連作、赤富士、浮世絵版画の仕組み、ジャポニスムへの影響へ進むと、一枚の名画が日本美術史と西洋近代美術の両方へつながります。
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最初に読む3本と、そこから話を広げる記事を選びました。 下には「葛飾北斎」に関する全3本があります。
北斎と《神奈川沖浪裏》
大波の読み方から、北斎・富士・浮世絵の面白さへ進みたいときに。
《神奈川沖浪裏》は、読み方やすごさを確認して終わるにはもったいない入口です。波、舟、小さな富士の関係を見たあと、北斎の連作、赤富士、浮世絵版画の仕組み、ジャポニスムへの影響へ進むと、一枚の名画が日本美術史と西洋近代美術の両方へつながります。
はじめに
まずは《神奈川沖浪裏》の作品ガイド、北斎入門、《凱風快晴》を順に読むと、波だけではない北斎の構図設計が見えてきます。

作品ガイド
《神奈川沖浪裏》は「かながわおきなみうら」と読みます。葛飾北斎の『冨嶽三十六景』の一図で、1830〜1832年頃に刊行されました。大波の下には三艘の舟があり、その奥に小さな富士が見えます。
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19世紀前半 / 江戸
《神奈川沖浪裏》を思い浮かべると、大きな波が真っ先に出てきます。けれど画面の奥には小さな富士があり、三艘の舟には人が身を伏せています。波だけを切り取れば、これほど緊張した絵にはなりません。
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作品ガイド
この版は縦25.4×横37.8センチ。大きな紙ではありません。それでも赤い斜面は左右の縁からはみ出し、山裾の木は緑の小さな三角形まで縮みます。人物も建物もないため、富士との距離を測れるのは、その木だけです。
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次に浮世絵の仕組みや広重、ジャポニスムへ寄り道すると、北斎が一枚の名画ではなく、版画メディアと近代美術の接点として立ち上がります。

17〜19世紀 / 日本(江戸)
人気役者の姿、評判の美人、行ってみたい名所。浮世絵は美術館へ入る前、江戸の人々が『いま面白いもの』を手元で楽しむ画像メディアでした。何枚も刷り、売り、持ち帰れるから、流行へすばやく反応できる。
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作品ガイド
《大はしあたけの夕立》は、隅田川に架かる新大橋を突然の夏の夕立が襲う場面です。橋の人々は身をすぼめて急ぎ、川では筏を操る船頭が雨を受けています。広重は交差する細い雨線、暗い雲、近くで切れる橋を組み合わせ、静止した木版画に雷雨の時間をつくりました。
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19世紀後半 / 日本とヨーロッパ
広重《大はしあたけの夕立》では、手前の橋桁が太く切れ、細い雨が画面を斜めに走ります。こうした構図は、19世紀のヨーロッパの画家に新鮮に映りました。扇や着物といった小物だけを探すと、この変化を見落とします。
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