光と影
明暗法
明暗法は、明るい部分と暗い部分の差を使って形や空気をつくる方法です。立体感に加え、視線を集める場所や場面の気分まで左右します。

不思議な作品
きれいより先に、ぞわっとする作品が気になるときに。
名作は、いつも『美しい』から入らなくても大丈夫です。少し怖い、変な感じがする、目が離せない。そういう反応を手がかりにすると、視線、暗さ、空間、象徴の働きが見えやすくなります。
順番どおりに進めると流れはつながりますが、途中で立ち止まっても問題ありません。 気になる記事で寄り道しながら、自分のペースで戻ってくるくらいの使い方を想定しています。
目をそらしたくなる絵の共通点を、5つの名作からつかみます。
《真珠の耳飾りの少女》が怖く感じるのは、暗闇から顔だけが浮かび、こちらを見返すように見えるからです。名前も場所も分からないため、視線の行き先も決まりません。少し怖い、なんとなく不思議、目が合うと落ち着かない。
美しさと少し怖い感じが同時に出る理由を、暗い背景と見返す目から見ます。
暗い背景から、少女がふいにこちらを振り向きます。《真珠の耳飾りの少女》は、フェルメールが1665年頃に描いたトロニーで、特定人物を記録する正式な肖像画ではありません。
叫ぶ人物のまわりで、空と欄干までが不安を広げる《叫び》を見ます。
手前の人物は口を開き、両手を耳に当てています。奥の二人は振り返りません。ムンクが残した文章で、叫び声は赤く染まった空を含む自然から響きます。人物の声とは限りません。
強すぎる絵を、単なる怪画で終わらせず、暗闇と暴力の削り方から読みます。
暗闇の中で、見開いた目と白い身体だけが浮かびます。怖い。見たくない。それでも目をそらしにくい。《我が子を食らうサトゥルヌス》では、神話の立派な舞台も、神の威厳も消えています。
誰が誰を見ているのかが揺れる、不思議な視線の部屋へ入ります。
王女マルガリータを囲む侍女たちの左で、ベラスケスが大きな画布に向かっています。奥の鏡には国王夫妻。何人もの視線が、絵の外にいる私たちの方へ向かいます。
人影のない島と水面だけが残る《死の島》で、静けさが不安に変わる場面を見ます。
暗い水の上を、小舟が岩の島へ向かっています。舟には白い棺のような物と、布をまとった人物。島の内側は高い岩壁と糸杉に塞がれ、上陸した先が見えません。恐ろしい事件は起きていない。

作品ガイド
隊長の左手が前へ伸び、その影が副官の黄色い上着に落ちています。後ろでは銃が火を噴き、犬が吠え、太鼓が鳴る。《夜警》は静かな顔の一覧ではありません。レンブラントはアムステルダムの市民隊を、行進が始まる直前のざわめきの中へ置きました。
記事を読む
作品ガイド
白い便器が横向きに置かれ、「R. Mutt 1917」と署名されています。この作品で起きたことは、形を見るだけではわかりません。応募作品をすべて展示するはずの展覧会へ提出され、拒否された。
記事を読む
18世紀後半〜19世紀前半 / スペイン
ゴヤは国王一家を描く宮廷画家として成功しました。その同じ画家が、銃口を向けられた市民や、子をのみ込むサトゥルヌスも描いています。宮廷を照らす光と、戦争や老いを包む暗闇。
記事を読む
作品の見方
知識より先に、作品の見方を増やしたいときに。
絵画、抽象画、彫刻の見方を順番に試しながら、単一作品の読み方までつなぐコースです。
はじめに
まずは全体の流れを一度見ておきたいときに。
ルネサンスから現代アートまで、大きな流れを一周するためのコースです。

現代美術
現代アートの前で足が止まりやすいときに。
現代アートを難しく感じる理由から入り、インスタレーションやパフォーマンスまでつないでいくコースです。