幅4.5メートルの集団肖像が、静止していない

作品はアムステルダムの火縄銃手組合会館のために描かれました。現在の大きさは高さ379.5センチ、幅453.5センチ。壁一面が人で動きだすような規模です。

アムステルダム国立美術館は、集団肖像の人物を「実際に何かしている」姿で描いた最初の画家がレンブラントだと説明します。隊長の号令を聞き、隊員が列をつくり始めた途中なので、顔も身体もきれいにはそろいません。

隊長の手の影が、号令の向きを示す

黒い服の隊長フランス・バニング・コックが左手を出し、その影が副官ウィレム・ファン・ライテンブルフの上着に落ちます。この小さな影が二人を結び、号令の向きを見せます。

そこから奥を見ると、左で銃へ火薬を詰め、中央で発砲し、右で銃身を掃除する三人がいます。一枚の中に、火縄銃を扱う三つの段階まで入っている。中央の閃光を探すと、群像の騒がしさが目だけでも伝わります。

光る少女は、隊のマスコット

隊長の後ろでは、金色の服を着た少女にも強い光が当たっています。所蔵館は彼女を隊のマスコットと説明しています。腰から下がる死んだ鶏も、市民隊を示す印の一つです。

画面にいるのは、名簿に載る隊員だけではありません。少女、太鼓を打つ男、吠える犬まで動員されています。全員の肖像を公平に見せるより、その場の音や勢いを立ち上げる方へ力を使った絵です。

《夜警》は後世の呼び名。しかも画面は切られている

完成当時の題名ではありません。「Night Watch」という名が文書に初めて現れるのは1797年です。暗い色調でも、所蔵館は昼の行進だと明記しています。題名だけで夜景と思い込むと、斜めから差す光を読み違えます。

1715年、作品を市庁舎の二つの扉の間へ収めるため、四辺が切られました。とくに左側の欠損が大きく、切られた部分は見つかっていません。現在の構図は、レンブラントが最初に仕上げた外周とは違います。

いまも、ガラス越しに修復が続いている

アムステルダム国立美術館では現在、「Operation Night Watch」として古いワニスを取り除く作業が進んでいます。作業は特設のガラス室で公開され、作品も《夜警》ギャラリーで見られます。

まず隊長の手、発砲の光、少女、犬を探してください。最後に全体へ戻ると、ばらばらの出来事が一つの行進へまとまります。修復中の実物を見るなら、当日の展示状況も公式サイトで確認しておくと安心です。

作品で見る

レンブラント《夜警》
The Night Watch / レンブラント1642年
隊長の号令、銃の閃光、少女、犬。個々の肖像を一つの出来事へまとめた群像画
画像を拡大画像出典
カラヴァッジョ《聖マタイの召命》
The Calling of Saint Matthew / カラヴァッジョ1599-1600年頃
明暗が場面の転換点をつくる絵と比べると、レンブラントが群像全体へ光を展開するやり方が見えやすい
この作品の解説画像を拡大画像出典
ディエゴ・ベラスケス《ラス・メニーナス》
Las Meninas / ディエゴ・ベラスケス1656年
複数人物を一枚の場面にまとめる絵でも、ベラスケスが視線を揺らすのに対して、レンブラントは動きで押し出す
この作品の解説画像を拡大画像出典

よくある質問

《夜警》は本当に夜の場面なのですか?
いいえ。アムステルダム国立美術館は昼の行進だと説明しています。《夜警》は後世についた通称で、この呼び名が文書に現れるのは1797年です。
画面は制作当時の大きさですか?
違います。1715年に市庁舎へ移した際、二つの扉の間へ収めるため四辺が切り落とされました。失われた部分は現在も見つかっていません。
修復中でも実物を見られますか?
公式案内では、《夜警》ギャラリーのガラス室で修復を公開しながら展示しています。工程によって状況が変わる可能性があるため、訪問日は公式サイトをご確認ください。

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