ART WORD / 主題と記号

肖像画

肖像画というと、まず『似ているか』に意識が向きます。でも見ていて面白いのは、むしろその人がどう見られたいか、どう見えてしまうかの方です。

ひとことで言うと

肖像画の意味

肖像画は、特定の人物を表すことを目的にした作品です。外見だけでなく、地位、性格、自己演出まで含めて表されます。

肖像画の図解

作品でつかむ

Mona Lisa

顔だけでなく、視線、手、背景までが人物の気配をつくる、肖像画の入口として有名な作品

  • 顔だけでなく、手、姿勢、服、背景を見る
  • その人がどう見られたいかを想像する
  • 似ているかどうか以上に、どんな印象が設計されているかを見る
レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》
Mona Lisa / レオナルド・ダ・ヴィンチ1503年頃-1519年頃

ひとことで言うと

肖像画は、人を描くジャンルです。ただし写真のように外見を写すだけではなく、その人の立場、性格、理想像、あるいは時代がその人に求めた姿まで含めてつくられます。

そのため肖像画を見るときは、顔立ちだけでは足りません。姿勢、衣装、視線、背景、小物まで含めて『その人はどう提示されているか』を見ると、かなり面白くなります。

どこを見るとわかりやすい?

まず目を見ると入りやすいです。こちらを見るのか、少し外すのか、伏せるのか。それだけで距離感が変わります。

次に手や服装を見ます。手が強く握られているのか、静かに重ねられているのか、豪華な衣装なのか簡素なのか。肖像画では、顔以外の要素がその人の役割や自己演出をかなり支えています。

作品で見るとこう見える

《モナ・リザ》では、表情の曖昧さばかりが話題になりますが、実際には手の落ち着きや背景の不安定さも含めて、人物の気配が組み立てられています。肖像画が顔の記録だけではないことがよくわかります。

ゴッホの自画像では、似顔の情報よりも、筆致や色の張りつめ方がその人の状態を強く伝えます。フアン・グリス《ピカソの肖像》まで来ると、肖像画は写実的でなくても成立することが見えてきます。

この言葉が見える作品

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フィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》
自画像 / フィンセント・ファン・ゴッホ1889年
外見の再現だけでなく、色と筆致で人の気配まで伝える肖像画
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フアン・グリス《ピカソの肖像》
ピカソの肖像 / フアン・グリス1912年
写実的でなくても、その人らしさの組み立てが肖像画として成立することを示す例
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出典