美術のことば / 主題と記号
モチーフ
『なぜ何度も同じ山や波を描くのか』と気になったとき、その反復を考えるための言葉がモチーフです。
ひとことで言うと
モチーフの意味
モチーフは、作品の中や複数の作品に繰り返し現れる形、題材、対象のことです。何が繰り返されているかを見ると、画面の意味や作家の関心を探れます。
作品でつかむ
凱風快晴
富士という同じモチーフが、天候と光によって別の印象へ開かれることを示す一枚
- 作品の中で繰り返し現れる形や対象を探す
- 一枚の中の反復も、作家が何度も戻る題材もモチーフになる
- モチーフを見ると、作家が何に引かれていたかが見えやすい

ひとことで言うと
モチーフは、作品の中で意味を持ちながら繰り返し現れるものです。花、山、波、窓、手の形のような具体的な対象のこともあれば、円や格子のような形の反復を指すこともあります。
大事なのは、何が描かれているかを数えることではありません。なぜその対象に何度も戻るのかを考え始めると、作品の見え方がぐっと立体的になります。
どこを見るとわかりやすい?
一枚の画面の中では、同じ形が反復していないかを見ます。たとえば波のうねり、木の縦の線、丸い形の繰り返しがあるとき、それは画面全体のリズムをつくるモチーフになっていることがあります。
さらに作家単位で見ると、何度も描かれる山、街、人物、物が見つかります。そこには、単なるお気に入り以上に、作家が思考を深めるための『戻る場所』があることが多いです。
作品で見るとこう見える
セザンヌにとってのサント=ヴィクトワール山は、見ることそのものを考え続けるためのモチーフでした。同じ山を何度も描くうちに、その形も、色面や空間の組み立て方も変わっていきます。
北斎の富士も同じように、ただの背景ではありません。《富嶽三十六景》では、波の向こう、街の向こう、さまざまな場所から富士が現れます。モチーフは、作家の目の癖や関心の軸を教えてくれます。
この言葉が見える作品
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この言葉がよく出てくる記事
用語が実際の記事でどう使われているかを確かめられます。

19世紀末〜20世紀初頭 / フランス
山の輪郭が閉じない。そこからセザンヌを見る
山の輪郭へ空の青が入り、手前の木にも同じ青が現れる。ところどころには、塗り残したような白い下地も見えます。セザンヌの風景が少し揺れて見えるのは、描写が足りないからではありません。
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19世紀前半 / 江戸
北斎入門:《神奈川沖浪裏》はなぜ目を奪うのか
《神奈川沖浪裏》を思い浮かべると、大きな波が真っ先に出てきます。けれど画面の奥には小さな富士があり、三艘の舟には人が身を伏せています。波だけを切り取れば、これほど緊張した絵にはなりません。
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19世紀中心 / ヨーロッパ・日本
風景画の歴史入門:背景だった景色が“主役”になるまで
人の後ろに広がる雲海、夕日へ曳かれる古い戦艦、遠くの富士へ重なる大波。同じ風景画でも、こちらが感じる時間はまるで違います。自然を正確に写したかを競う前に、人物、光、地平線がどこに置かれたかを比べてみましょう。
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