美術のことば / 主題と記号

モチーフ

『なぜ何度も同じ山や波を描くのか』と気になったとき、その反復を考えるための言葉がモチーフです。

ひとことで言うと

モチーフの意味

モチーフは、作品の中や複数の作品に繰り返し現れる形、題材、対象のことです。何が繰り返されているかを見ると、画面の意味や作家の関心を探れます。

モチーフの図解

作品でつかむ

凱風快晴

富士という同じモチーフが、天候と光によって別の印象へ開かれることを示す一枚

  • 作品の中で繰り返し現れる形や対象を探す
  • 一枚の中の反復も、作家が何度も戻る題材もモチーフになる
  • モチーフを見ると、作家が何に引かれていたかが見えやすい
葛飾北斎《凱風快晴》
凱風快晴 / 葛飾北斎1831年頃

ひとことで言うと

モチーフは、作品の中で意味を持ちながら繰り返し現れるものです。花、山、波、窓、手の形のような具体的な対象のこともあれば、円や格子のような形の反復を指すこともあります。

大事なのは、何が描かれているかを数えることではありません。なぜその対象に何度も戻るのかを考え始めると、作品の見え方がぐっと立体的になります。

どこを見るとわかりやすい?

一枚の画面の中では、同じ形が反復していないかを見ます。たとえば波のうねり、木の縦の線、丸い形の繰り返しがあるとき、それは画面全体のリズムをつくるモチーフになっていることがあります。

さらに作家単位で見ると、何度も描かれる山、街、人物、物が見つかります。そこには、単なるお気に入り以上に、作家が思考を深めるための『戻る場所』があることが多いです。

作品で見るとこう見える

セザンヌにとってのサント=ヴィクトワール山は、見ることそのものを考え続けるためのモチーフでした。同じ山を何度も描くうちに、その形も、色面や空間の組み立て方も変わっていきます。

北斎の富士も同じように、ただの背景ではありません。《富嶽三十六景》では、波の向こう、街の向こう、さまざまな場所から富士が現れます。モチーフは、作家の目の癖や関心の軸を教えてくれます。

この言葉が見える作品

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葛飾北斎《神奈川沖浪裏》
神奈川沖浪裏 / 葛飾北斎1831年頃
荒れる波の向こうに富士が見え、自然の力と不動の山が一つのモチーフ関係をつくる
画像を拡大画像出典
葛飾北斎《凱風快晴》
凱風快晴 / 葛飾北斎1831年頃
同じ富士でも、天候と光によってまったく違う印象へ開かれる
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この言葉がよく出てくる記事

用語が実際の記事でどう使われているかを確かめられます。

ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山》

19世紀末〜20世紀初頭 / フランス

山の輪郭が閉じない。そこからセザンヌを見る

山の輪郭へ空の青が入り、手前の木にも同じ青が現れる。ところどころには、塗り残したような白い下地も見えます。セザンヌの風景が少し揺れて見えるのは、描写が足りないからではありません。

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葛飾北斎《神奈川沖浪裏》

19世紀前半 / 江戸

北斎入門:《神奈川沖浪裏》はなぜ目を奪うのか

《神奈川沖浪裏》を思い浮かべると、大きな波が真っ先に出てきます。けれど画面の奥には小さな富士があり、三艘の舟には人が身を伏せています。波だけを切り取れば、これほど緊張した絵にはなりません。

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フリードリヒ《雲海の上の旅人》

19世紀中心 / ヨーロッパ・日本

風景画の歴史入門:背景だった景色が“主役”になるまで

人の後ろに広がる雲海、夕日へ曳かれる古い戦艦、遠くの富士へ重なる大波。同じ風景画でも、こちらが感じる時間はまるで違います。自然を正確に写したかを競う前に、人物、光、地平線がどこに置かれたかを比べてみましょう。

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「モチーフ」を別の角度から見る

作品例を見る作品別ガイド

実際の作品で、この言葉が指す部分を確認します。

見方を試す見る練習

線や光、構図へ目を移しながら、自分で見分けてみます。

時代を調べる美術史の流れ

いつ使われ始め、前後の表現がどう変わったかを年表で見ます。

出典