ART WORD / 主題と記号

モチーフ

『この人は、なぜ何度も同じ山や同じ波を描くのだろう』という疑問は、モチーフという言葉でかなり整理できます。

ひとことで言うと

モチーフの意味

モチーフは、作品の中や複数の作品に繰り返し現れる形、題材、対象のことです。画面の意味や作家の関心をつかむ手がかりになります。

モチーフの図解

作品でつかむ

サント=ヴィクトワール山

同じ山に何度も向き合うことで、形の捉え方そのものを深めていったセザンヌの代表的モチーフ

  • 作品の中で繰り返し現れる形や対象を探す
  • 一枚の中の反復だけでなく、作家が何度も戻る題材もモチーフになる
  • モチーフを見ると、作家が何に引かれていたかが見えやすい
ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山》
サント=ヴィクトワール山 / ポール・セザンヌ1902-1904年頃

ひとことで言うと

モチーフは、作品の中で意味を持ちながら繰り返し現れるものです。花、山、波、窓、手の形のような具体的な対象のこともあれば、円や格子のような形の反復を指すこともあります。

大事なのは、何が描かれているかを数えることではありません。なぜその対象に何度も戻るのかを考え始めると、作品の見え方がぐっと立体的になります。

どこを見るとわかりやすい?

一枚の画面の中では、同じ形が反復していないかを見ます。たとえば波のうねり、木の縦の線、丸い形の繰り返しがあるとき、それは画面全体のリズムをつくるモチーフになっていることがあります。

さらに作家単位で見ると、何度も描かれる山、街、人物、物が見えてきます。そこには、単なるお気に入り以上に、作家が思考を深めるための『戻る場所』があることが多いです。

作品で見るとこう見える

セザンヌにとってのサント=ヴィクトワール山は、風景の記録というより、見ることそのものを考え続けるためのモチーフでした。何度も描き直すことで、山の形だけでなく、色面や空間の組み立て方が変わっていきます。

北斎の富士も同じように、ただの背景ではありません。《富嶽三十六景》では、波の向こう、街の向こう、さまざまな場所から富士が現れます。モチーフは、作家の目の癖や関心の軸を教えてくれます。

この言葉が見える作品

用語一覧へ
葛飾北斎《神奈川沖浪裏》
神奈川沖浪裏 / 葛飾北斎1831年頃
荒れる波の向こうに富士が見え、自然の力と不動の山が一つのモチーフ関係をつくる
画像を拡大画像出典
葛飾北斎《凱風快晴》
凱風快晴 / 葛飾北斎1831年頃
同じ富士でも、天候と光によってまったく違う印象へ開かれる
画像を拡大画像出典

出典