空間
遠近法
遠近法は、平らな画面に奥行きを感じさせるための方法です。近くのものを大きく、遠くのものを小さく見せたり、平行な線が遠くで集まるように描いたりして、絵の中に空間をつくります。

思想と社会
様式の名前だけでなく、なぜ美術が変わったのかを知りたいときに。
作品の変化は、画家の才能や様式の流行だけでは説明できません。このコースでは、人間観、古代哲学、パトロン、宗教、世俗化、オランダ市民市場、科学、公共制度、批評とサロン、公共美術館、コレクションとカノン、産業化、実証主義、無意識という十四の転換をたどり、作品の細部と同時代の社会を往復して読みます。
順番どおりに進めると流れはつながりますが、途中で立ち止まっても問題ありません。 気になる記事で寄り道しながら、自分のペースで戻ってくるくらいの使い方を想定しています。
古代の再発見と人間への関心が、肖像、身体、遠近法へどう現れたかを見ます。
ルネサンスの画面では、人物の顔や身体に重さが生まれ、建物の奥行きが一つの視点へ集まります。技術の進歩の背後には、古代の文献を読み直し、人間の能力や現世の経験を考えた人文主義がありました。
美、愛、魂の上昇という古代哲学の再解釈から、ルネサンス神話画の奥行きを見ます。
ボッティチェリのヴィーナスは、古代の女神でありながら15世紀フィレンツェの画面に立っています。当時はプラトンやプロティノスが読み直され、美しい身体や愛を、魂が高いものへ向かう手がかりとして考える環境がありました。
教会、都市、有力家族の注文から、作品がどの空間で何を示したかを読みます。
《ヴィーナスの誕生》は「メディチ家が注文した絵」と紹介されがちです。ところが、作品についての最初の確かな記録は、ヴァザーリがメディチ家のカステッロ荘で見たと記した1550年。
画像をめぐる宗教的な対立から、北の市民絵画と南のバロックが分かれる条件を追います。
宗教改革のあと、ヨーロッパから宗教画が消えたわけではありません。教会の像が壊された地域がある一方で、カトリック圏では光と身振りで観客へ迫る宗教画が生まれました。北では、肖像や室内画を家庭へ飾る市場も広がります。
宗教の消滅ではなく、教会、市場、サロン、美術館へ鑑賞の場所が増えた過程を見ます。
カラヴァッジョ《聖マタイの召命》は礼拝堂の壁へ、《夜警》は市民隊本部の宴会場へ作られました。マネ《オランピア》はサロンで大勢の観客と新聞評にさらされます。三作は、見る場所も注文主も違います。
市民の家と市場の広がりから、風俗画や室内画がなぜ増えたかを見ます。
フェルメールの静かな室内画は、どんな部屋の壁に掛けられていたのでしょう。17世紀オランダでは、商人、職人、市民組織も絵を買うようになりました。買い手と飾る場所が変われば、画家が選ぶ大きさや主題も変わります。
遠近法、解剖、レンズ、地図を通して、観察する目がどう組み替わったかを確かめます。
一本の水平線と消失点で奥行きを作る。解剖した身体を図にする。レンズを通った光を平面に受ける。画家と科学者は同じ仕事をしていたわけではありませんが、世界をどう観察し、二次元へ移すかという問題を共有しました。
アカデミーとサロンの成立から、美術を誰が教育し、公開し、評価したのかを読みます。
18世紀のサロンでは、大小の絵が壁の上まで並び、その前で観客が好き嫌いを語りました。新聞や書簡には批評が載る一方、画家の教育と入選はアカデミーが握っています。『よい美術を誰が決めるのか』。
公開審査、批評、落選者展から、近代美術の発表制度を追います。
《草上の昼食》は1863年の公式サロンに落選し、落選者展へ。《オランピア》は1865年の公式サロンに入選して非難を浴びました。《印象、日の出》が掛かったのは、1874年に画家たち自身が開いた展覧会です。
宮殿や教会から公共美術館へ移ることで、作品の見え方がどう変わったかを見ます。
美術館へ入ると、何世紀も離れた絵が同じ壁に掛かっています。けれど祭壇画は教会のために、宮廷肖像は王の部屋のために作られたものでした。作品を移し、年代や国で並べ直すと、美術史という新しい眺めが生まれます。
収集、保存、複製、教育から、名作が名作として残る仕組みを読みます。
教科書、美術館、ポスターで同じ作品に何度も出会ううち、私たちはそれを『名作』として覚えます。その背景には、作品の魅力、集めた人、保存した場所、展示した美術館、複製したメディアがあります。
鉄道、労働、都市、余暇が、写実主義と印象派に異なる応答を促した流れを見ます。
ターナーの画面では、黒い機関車が雨を突っ切ってこちらへ来ます。クールベは、道路で石を砕く二人を歴史画ほどの大きさで描きました。モネの朝もやには、太陽と一緒に煙突やクレーンが浮かびます。
観察できる事実を重視する19世紀の知の態度から、写実主義と新印象主義をつなぎます。
クールベは同時代の労働を大画面へ置き、スーラは色を小さな点に分けました。作風は遠く見えますが、二人の背後には、見えるものを観察し、分類し、確かめようとする19世紀があります。
夢と無意識の発見が、合理的な現実をずらす制作方法へどう展開したかを追います。
古典彫刻の頭部の横に、赤いゴム手袋が掛かっています。遠くには列車。デ・キリコ《愛の歌》の物は一つずつ描けても、なぜ一緒にあるのか説明できません。
空間
遠近法は、平らな画面に奥行きを感じさせるための方法です。近くのものを大きく、遠くのものを小さく見せたり、平行な線が遠くで集まるように描いたりして、絵の中に空間をつくります。

構成
構図は、画面の中で何をどこに置くかという設計です。『どこから見始めて、どこへ目が進むか』を静かに決める役割があります。

光と影
明暗法は、明るい部分と暗い部分の差を使って形や空気をつくる方法です。立体感に加え、視線を集める場所や場面の気分まで左右します。

主題と記号
肖像画は、特定の人物を表すことを目的にした作品です。外見とともに、地位、性格、自己演出も画面へ組み込まれます。


14〜16世紀 / イタリア中心
床の線は一点へ集まり、人物の身体には重さが戻ります。古代の神話や哲学も、当時の都市が求めた新しい画面へ生まれ変わりました。ルネサンスを『昔への回帰』だけで覚えると、この実験の勢いを見落とします。
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17世紀後半〜19世紀後半 / フランス
入選しても、絵が天井近くに掛けられれば見てもらいにくい。よい位置に展示され、批評で名を挙げられ、国に買い上げられれば次の仕事につながる。19世紀のパリ・サロンは、作品発表と就職活動と市場が重なったような場所でした。
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19世紀後半 / フランス
1863年、パリ・サロンの落選作を見せる別会場が開かれました。そこに掛かったマネ《草上の昼食》には、観客の笑いも批判も集まります。作品を選ぶ審査員の外側に、観客が自分で判断できる場所ができた。
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近代を読む
19世紀以降の美術を、社会や思想の変化と一緒に読みたいときに。
鉄道、写真、広告、戦争、美術館。社会の変化が、作品の作られ方と見る側の目をどう変えたのかを追います。
はじめに
まずは全体の流れを一度見ておきたいときに。
ルネサンスから現代アートまで、大きな流れを一周するためのコースです。

作品の見方
知識より先に、作品の見方を増やしたいときに。
絵画、抽象画、彫刻の見方を順番に試しながら、単一作品の読み方までつなぐコースです。

現代美術
現代アートの前で足が止まりやすいときに。
現代アートを難しく感じる理由から入り、インスタレーションやパフォーマンスまでつないでいくコースです。