ART WORD / 見え方と構造

抽象

抽象作品の前で立ち止まるのは自然です。何が描かれているかがすぐ見つからないときは、答え探しより先に『何と何がどう響き合っているか』を見る方が入りやすくなります。

ひとことで言うと

抽象の意味

抽象は、対象の見た目をそのまま再現する代わりに、色、線、面、リズム、比率などの関係を前面に出す考え方です。

抽象の図解

作品でつかむ

黄-赤-青

色と形の関係だけで緊張やリズムが立ち上がる、抽象の入口として見やすい作品

  • 題名より先に、色数と形の種類を見る
  • どこに重心があり、どこが軽く開いているかを見る
  • 対象がなくても、関係には強い方向性がある
ワシリー・カンディンスキー《黄-赤-青》
黄-赤-青 / ワシリー・カンディンスキー1925年

ひとことで言うと

抽象は『何も描いていない』ことではありません。見た目の再現から少し離れて、色、線、面、比率そのものを主題にする考え方です。

そのため抽象を見るときは、花や人物を探すより、どの色がぶつかっているか、どの線が流れをつくっているかを見る方が、作品の芯に近づきやすくなります。

どこを見るとわかりやすい?

まず、目が最初に止まる場所を探してみてください。大きい形か、強い色か、密度の高い部分か。その最初の引力が、作品の入口になります。

次に、画面全体で反復している形や色を見ます。丸が何度も出てくるのか、直線が支配しているのか、色がぶつかっているのか。抽象は、似た要素の反復と差分で読めることが多いです。

作品で見るとこう見える

カンディンスキーの《黄-赤-青》では、色は物の色ではなく、ぶつかり合う力として見えてきます。黄色い三角形、青い円、黒い線が、それぞれ別の速度を持つように感じられます。

マレーヴィチ《黒の正方形》ではさらに極端に、主題や物語をほとんど持ち込まず、形そのものが前に出ます。モンドリアンでは線と色面の比率が厳しく整えられ、抽象が自由放任ではなく、かなり緻密な設計でもあることが見えてきます。

この言葉が見える作品

用語一覧へ
カジミール・マレーヴィチ《黒の正方形》
黒の正方形 / カジミール・マレーヴィチ1915年
再現をほとんど手放し、形そのものを前面に押し出した抽象の転換点
画像を拡大画像出典
ピート・モンドリアン《コンポジションII(赤・青・黄)》
コンポジションII(赤・青・黄) / ピート・モンドリアン1930年
限られた線と色だけで、均衡の強さをつくる幾何学的抽象の代表例
画像を拡大画像出典

出典