美術のことば / 形式

メディウム

油絵なら乾いた絵具が残り、映像なら時間が流れ、既製品なら元の用途がついてきます。何を表したかと同じくらい、何を使い、どう見せたかも作品の意味を変えます。その材料と手段を考える言葉がメディウムです。

ひとことで言うと

メディウムの意味

メディウムは、作品がどんな素材や手段、媒体によって成り立っているかを指す言葉です。

メディウムの図解

作品でつかむ

TV Buddha

彫刻、モニター、映像が組み合わさることで、単一の素材では生まれない関係が立ち上がる

  • 材料、記録方法、再生装置、展示方法を分けて見る
  • メディウムが変わると、作品の時間感覚や距離感も変わる
  • 選ばれたメディウム自体が、作品の意味を変える
ナム・ジュン・パイク《TV Buddha》
TV Buddha / ナム・ジュン・パイク1974年

材料だけでなく、作品を成立させる手段を指す

メディウムは、作品を成り立たせる材料や方法を指します。油絵なら絵具と支持体、写真なら撮影と印画、ビデオなら記録された信号と再生装置まで含めて考えます。

作品ラベルの『油彩、カンヴァス』は材料の記録です。現代美術では、文字、既製品、作家の行為、観客の参加までメディウムとして論じることがあります。使われた物の一覧より広い言葉です。

作品ラベルを読み、再生装置まで見る

作品ラベルで素材と技法を確認します。次に、額、台座、プロジェクター、スピーカーなど、表示や再生に必要な物を見ます。写真は紙か画面か、映像は一回だけかループか。それぞれ時間の流れが違います。

最後に、別の手段へ置き換えた場面を想像します。映像を静止画にしたら失われるものは何か。既製品をそっくり描いたら何が変わるか。置き換えにくい部分が、作家がそのメディウムを選んだ理由です。

《TV Buddha》では、テレビが入れ物では終わらない

《TV Buddha》では、仏像、カメラ、モニター、現在の映像が一つの輪を作ります。テレビは完成した映像を入れる箱ではありません。仏像の今の姿を返し続ける装置です。

デュシャン《Fountain》は、工場で作られた便器を選び、向きを変え、署名して出品しました。陶器という材料だけを見ても作品の選択は分かりません。既製品を美術展へ移す手続きまで含めて、どう成立したかを見る必要があります。

この言葉が見える作品

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フィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》
自画像 / フィンセント・ファン・ゴッホ1889年
乾いた油絵具の盛り上がりと筆跡が、顔の周囲に制作時の手の動きを残す
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マルセル・デュシャン《Fountain》
Fountain / マルセル・デュシャン1917年(写真は後年の複製)
既製品を選び、向きを変え、美術展へ出す手続きが作品の成立条件になる。写真:David Shankbone
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この言葉がよく出てくる記事

用語が実際の記事でどう使われているかを確かめられます。

マルセル・デュシャン《階段を降りる裸体 No.2》

1910年代〜1920年代 / 欧米

便器の前に、階段を降りる裸体があった

《階段を降りる裸体》では、身体が連続する断片に変わります。《自転車の車輪》では既製品が台座に載り、《Fountain》では便器が展覧会へ提出されました。作品を作るとは何か。

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クリストとジャンヌ=クロード《The Gates》

1960年代以後 / 国際

作品の中を歩く。インスタレーション・アート入門

展示室へ入ったものの、どこからが作品なのか分からない。そんな戸惑いは、インスタレーションを見る出発点になります。壁にある物、入口からの距離、足元の音、回り込んだときの景色が一緒に変わるからです。

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「メディウム」を別の角度から見る

作品例を見る作品別ガイド

実際の作品で、この言葉が指す部分を確認します。

見方を試す見る練習

線や光、構図へ目を移しながら、自分で見分けてみます。

時代を調べる美術史の流れ

いつ使われ始め、前後の表現がどう変わったかを年表で見ます。

出典