ART WORD / 輪郭

スフマート

輪郭がはっきりしていないのに、むしろ生きた顔に見える。その不思議さを支えているのがスフマートです。

ひとことで言うと

スフマートの意味

スフマートは、輪郭を強い線で区切らず、明暗や色のゆるやかな移り変わりで形を見せる技法です。煙のように境目がやわらかく見えるのが特徴です。

スフマートの図解

作品でつかむ

モナ・リザ

輪郭を硬く切らず、顔が空気の中からゆっくり立ち上がるように見える

  • 口元やまぶたなど細い境目を見る
  • 線で囲っているのか、明暗で見せているのかを比べる
  • はっきりしないことが、表情の揺れにつながる
レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》
モナ・リザ / レオナルド・ダ・ヴィンチ1503-1519年頃

ひとことで言うと

スフマートは、輪郭を『線で切る』のではなく、『空気の中で少しずつ変える』ように見せる方法です。とくに顔や手のようなやわらかな形で効果を発揮します。

そのため、スフマートのある絵は、ぼやけているというより、境目が急に終わらず自然に続いているように感じられます。

どこを見るとわかりやすい?

鼻筋、口角、あごの下、まぶたのふちのような場所を見るとわかりやすいです。そこに強い線があるのか、それとも明暗だけで形が見えているのかを比べてみてください。

輪郭が固定されすぎないぶん、表情が少し動いて見えることがあります。とくに《モナ・リザ》の口元や目元は、その代表例です。

作品で見るとこう見える

レオナルドの人物は、線で切り取られた感じが弱く、空気の中から静かに現れてくるように見えます。これは、ただぼかしているからではなく、明暗の移行をとても細かく調整しているからです。

輪郭が明快なボッティチェリ《ヴィーナスの誕生》と比べると違いがよくわかります。線の美しさを立てるか、気配のやわらかさを立てるか。スフマートは後者に強い技法です。

この言葉が見える作品

用語一覧へ
レオナルド・ダ・ヴィンチ《最後の晩餐》
最後の晩餐 / レオナルド・ダ・ヴィンチ1495-1498年頃
顔や手のやわらかな移行が、劇的すぎない自然さを支える
画像を拡大画像出典
サンドロ・ボッティチェリ《ヴィーナスの誕生》
ヴィーナスの誕生 / サンドロ・ボッティチェリ1480年代半ば頃
輪郭線の美しさが前面に出る作品。スフマートとの違いが見比べやすい
画像を拡大画像出典

出典