ART WORD / 空間

空気遠近法

山の向こうが少し青く霞んで見える。その自然な感覚を、そのまま絵の中で使っているのが空気遠近法です。

ひとことで言うと

空気遠近法の意味

空気遠近法は、遠くにあるものほど色が薄く、青みを帯び、輪郭がやわらかく見える性質を利用して奥行きを表す方法です。

空気遠近法の図解

作品でつかむ

モナ・リザ

背後の地形が青くやわらぎ、人物の前にある空気の厚みまで感じさせる

  • 遠景ほど色が薄く、青みがかるかを見る
  • 輪郭のくっきり度合いが手前と奥で変わるかを見る
  • 線遠近法だけではない奥行きの作り方だと意識する
レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》
モナ・リザ / レオナルド・ダ・ヴィンチ1503年頃-1519年頃

ひとことで言うと

空気遠近法は、空気の層によって遠くのものがぼんやり見える現象を、絵の中に取り込む方法です。建物の線を一点へ集める遠近法とは違って、色や輪郭の変化で奥行きをつくります。

そのため、景色の絵だけの話ではありません。人物の後ろに広がる背景や、画面の距離感全体にも効いてきます。

どこを見るとわかりやすい?

まず、手前の木や人物と、いちばん奥の山や空の境目を見比べてみてください。遠くへ行くほど輪郭がやわらかくなり、色が冷たく薄くなっていれば、空気遠近法がかなり働いています。

次に、画面の奥がただ薄いだけではなく、空気の厚みを感じさせるかを見ます。ここがあると、風景は背景ではなく『呼吸している距離』になります。

作品で見るとこう見える

レオナルド《モナ・リザ》の背景は、人物の輪郭とは違うやわらかさで描かれています。そこに空気遠近法があることで、人物の背後にただ風景があるのではなく、深く続く世界が開きます。

ターナーの風景を見ると、この感覚はさらに強くなります。遠景が煙るようにほどけることで、景色は地形の説明ではなく、光と空気の体験そのものになります。

この言葉が見える作品

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J.M.W.ターナー《戦艦テメレール号》
戦艦テメレール号 / J.M.W.ターナー1839年
船の周囲の空気が溶けるように広がり、距離と時間が同時に感じられる
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クロード・モネ《日傘をさす女》
日傘をさす女 / クロード・モネ1875年
人物の輪郭が空や風とつながり、前景と背景の距離が軽やかに感じられる
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出典