ART WORD / 空間

短縮法

腕や脚が真正面に伸びてくると、実際の長さのままでは描けません。見える長さに合わせて圧縮する、その判断が短縮法です。

ひとことで言うと

短縮法の意味

短縮法は、こちらへ向いた形や奥へ引っ込む形を、実際より短く圧縮して描くことで立体感を出す方法です。

短縮法の図解

作品でつかむ

死せるキリスト

足元から身体を見る構図によって、圧縮された奥行きが強い緊張を生む

  • 手前に出る部分と奥へ引く部分の長さの差を見る
  • 形が崩れているのではなく、視点に合わせて圧縮されていると考える
  • 短縮法はドラマを強めるためにも使われる
アンドレア・マンテーニャ《死せるキリスト》
死せるキリスト / アンドレア・マンテーニャ1480年頃

ひとことで言うと

短縮法は、見る位置に応じて形を縮めて見せる方法です。真正面から見た身体と、足元や斜め上から見た身体では、同じ長さでも見え方が大きく変わります。

だから短縮法は、写実の細かいテクニックというより、視点を画面に持ち込むための工夫です。見る人がどこに立っているかが、絵の中に強く刻まれます。

どこを見るとわかりやすい?

腕、脚、足先、寝かされた身体の胴の部分がわかりやすいです。とくにこちらへ向かって伸びてくる形は、実際よりずっと短く、幅広く見えることがあります。

最初は『形が不自然ではないか』と感じても大丈夫です。短縮法は、見た目どおりに描こうとするときに、むしろ不自然さすれすれの圧縮が必要になる技法です。

作品で見るとこう見える

マンテーニャ《死せるキリスト》では、身体が足元から強く圧縮されて見えます。この圧縮があるからこそ、画面の前に立つ人は、遺体のすぐそばにいるような距離感を味わいます。

カラヴァッジョ《エマオの晩餐》では、弟子の腕やテーブルまわりの形がこちらへ飛び出し、出来事がいま目の前で起きている感じを強めます。短縮法は、単にうまく描くためではなく、場面へ巻き込むためにも使われます。

この言葉が見える作品

用語一覧へ
カラヴァッジョ《エマオの晩餐》
エマオの晩餐 / カラヴァッジョ1601年
腕や籠の突き出し方が、場面を観客の近くへ引き寄せる
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出典