ART WORD / 空間
短縮法
腕や脚が真正面に伸びてくると、実際の長さのままでは描けません。見える長さに合わせて圧縮する、その判断が短縮法です。
ひとことで言うと
短縮法の意味
短縮法は、こちらへ向いた形や奥へ引っ込む形を、実際より短く圧縮して描くことで立体感を出す方法です。
作品でつかむ
死せるキリスト
足元から身体を見る構図によって、圧縮された奥行きが強い緊張を生む
- 手前に出る部分と奥へ引く部分の長さの差を見る
- 形が崩れているのではなく、視点に合わせて圧縮されていると考える
- 短縮法はドラマを強めるためにも使われる

ひとことで言うと
短縮法は、見る位置に応じて形を縮めて見せる方法です。真正面から見た身体と、足元や斜め上から見た身体では、同じ長さでも見え方が大きく変わります。
だから短縮法は、写実の細かいテクニックというより、視点を画面に持ち込むための工夫です。見る人がどこに立っているかが、絵の中に強く刻まれます。
どこを見るとわかりやすい?
腕、脚、足先、寝かされた身体の胴の部分がわかりやすいです。とくにこちらへ向かって伸びてくる形は、実際よりずっと短く、幅広く見えることがあります。
最初は『形が不自然ではないか』と感じても大丈夫です。短縮法は、見た目どおりに描こうとするときに、むしろ不自然さすれすれの圧縮が必要になる技法です。
作品で見るとこう見える
マンテーニャ《死せるキリスト》では、身体が足元から強く圧縮されて見えます。この圧縮があるからこそ、画面の前に立つ人は、遺体のすぐそばにいるような距離感を味わいます。
カラヴァッジョ《エマオの晩餐》では、弟子の腕やテーブルまわりの形がこちらへ飛び出し、出来事がいま目の前で起きている感じを強めます。短縮法は、単にうまく描くためではなく、場面へ巻き込むためにも使われます。
