美術のことば / 現代美術
アプロプリエーション
漫画の戦闘機、スープ缶、新聞写真。すでに流通している画像を作品へ移すと、元の広告や商品棚とは違う見え方が始まります。その借用を隠さず、元画像との距離まで作品にする方法がアプロプリエーションです。
ひとことで言うと
アプロプリエーションの意味
アプロプリエーションは、すでに存在する画像、物、記号、スタイルを取り込み、別の文脈で提示する方法です。
作品でつかむ
Whaam!
コミック由来の図像が、巨大な絵画として別の距離感を持ちはじめる
- 広告、漫画、報道写真など、元の出どころを探す
- 大きさ、色、切り取り方、反復回数の変更を見る
- 著作権上の適否と、作品としての意味は分けて考える

借りたことを隠さず、元画像との距離を見せる
アプロプリエーションは、既存の画像、物、記号、作風を別の作品へ取り込む方法です。借りた事実を消すのではなく、見た人が元を思い出せる状態で提示します。
美術に借用は昔からありましたが、この言葉は1960年代以降の作品を語るときによく使われます。独創的な図柄を一から作ったかより、流通中の画像を選び直した理由が問われます。
元画像、変更点、置かれた場所の順で見る
最初に出どころを探します。広告、漫画、商品デザイン、報道写真、名画のどれに近いでしょうか。特定できなくても、商品棚で見る画像か、新聞で見る画像かまでは考えられます。
次は変更点です。拡大、切り取り、色の置き換え、反復。最後に、美術館の壁や街頭など、置かれた場所を見ます。元の画像と同じ部分より、移動によって変わった部分に作品の判断があります。
《Whaam!》は、漫画の一コマを横4メートルへ広げた
リキテンスタイン《Whaam!》は、戦争漫画の一コマをもとにした二枚組の絵です。横幅は約4メートル。小さな印刷物だった爆発と擬音が、人の身体より大きな画面へ移されています。
ウォーホル《Campbell's Soup Cans》では、商品パッケージが32枚のキャンバスに並びます。スーパーなら味を見分ける缶が、美術館では反復する図柄に変わる。借りた後の大きさ、数、展示場所まで見て初めて、方法の意味がつかめます。
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この言葉がよく出てくる記事
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1970年代以後 / 国際
元の画像と、借りた作品を往復する
- 時代の目安
- 1970年代以降。モダニズムへ向けられた複数の応答
- よく使う方法
- 引用、複製、アプロプリエーション、異なる様式の混在
広告写真を撮り直す。漫画の一コマを巨大な絵へ移す。昔の様式と新しい商品を同じ画面で混ぜる。1970年代以降に広がったポストモダンの美術は、「新しい形を一から発明したか」だけで作品を測りません。
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1950年代半ば〜1960年代 / イギリス、アメリカ
スープ缶と漫画は、美術館でどう見える?
- 題材
- 商品、広告、コミック、映画スターなど、広く流通するイメージ
- よく使う方法
- 反復、拡大、切り抜き、印刷表現のまね
スーパーなら数秒で通り過ぎる赤白の缶が、美術館では32枚続きます。漫画なら一瞬で読む爆発が、《Whaam!》では横幅4メートルを超えます。題材はよく知っているのに、見慣れた大きさと速度では見られません。
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1910年代〜1920年代 / 欧米
便器の前に、階段を降りる裸体があった
《階段を降りる裸体》では、身体が連続する断片に変わります。《自転車の車輪》では既製品が台座に載り、《Fountain》では便器が展覧会へ提出されました。作品を作るとは何か。
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