画面にあるのは、その日の日付だけ

オン・カワラは1966年1月4日、最初の『日付絵画』を作りました。単色の地に、制作した日の日付を白い文字で描きます。風景も人物も、その日の出来事も画面には入りません。

文字も背景色も、すべて手で塗られています。大きさは八種類あり、背景の赤、青、灰色は作家が毎回調合しました。同じ規格に見えても、まったく同じ色の二作はありません。

真夜中に間に合わなければ、作品は壊された

一作は、記された日付のうちに完成させる決まりでした。真夜中までに仕上がらなければ、カワラはその絵を壊します。翌朝続きを塗って、前の日の日付を残すことはできません。

この締切を知ると、白い文字が一日の残り時間を測る目盛りにも見えます。簡素な画面でも、何層も塗って乾かし、文字の輪郭を整える手仕事が、日付が変わる前まで続きました。

箱の中には、その土地の新聞が入る

完成した絵は、作家が作った厚紙の箱に収められました。多くの箱には、その日の現地新聞から切り取った記事が入っています。絵の表には日付、箱の中には同じ日に報じられた事件や広告が残ります。

日付だけの画面は場所を明かしませんが、新聞は制作した都市へ作品をつなぎ戻します。カワラは旅先を含む137都市でシリーズを制作しました。抽象的な暦の日付と、その土地の一日が箱の内外で組み合わされています。

日付の書き方は、滞在した国に合わせる

月を先に書くか、日を先に書くか。月名をどの言語で表すか。カワラは制作地で使われる日付表記に合わせました。ラテン文字を使わない地域では、エスペラント語で月を記します。

どこでも通じそうな数字の並びに、土地ごとの習慣が入り込みます。日本で作った日付とニューヨークで作った日付は、同じ規則に従いながら表記が違います。画面を見るときは、日付と一緒に制作都市も確認したいところです。

今日の日付と、1967年6月19日を並べる

展示室では、自分が見ている今日の日付を思い浮かべ、画面の日付を読みます。その日に自分や家族がどこにいたかを考える必要はありません。1967年6月19日と今日の間に、何日あるかを数えるだけでも十分です。

《June 19, 1967》から確認できるのは、カワラがその日に絵を完成させたことです。何を感じていたかまでは書かれていません。日付、制作地、箱の新聞という手がかりを前に、そこへ説明以上の物語を足さずに留まることも、この作品の見方です。

作品で見る

オン・カワラ《June 19, 1967》
June 19, 1967 / オン・カワラ1967年
日付、真夜中の締切、手製の箱、現地新聞までを含めて一作になる
画像を拡大画像出典
ジョセフ・コスース《One and Three Chairs》
One and Three Chairs / ジョセフ・コスース1965年
実物、写真、辞書の定義を並べる作品。日付を記録として使うカワラとの違いが見える
この作品の解説画像を拡大画像出典
ルイーズ・ブルジョワ《Maman》
Maman / ルイーズ・ブルジョワ1999年
巨大な蜘蛛の下へ観客の身体を置く作品。小さな日付画とは反対の方法で時間と記憶に触れる
この作品の解説画像を拡大画像出典

よくある質問

日付だけの作品は、なぜアートになるのですか?
日付に加え、真夜中までに完成させる規則、手で塗る工程、箱と新聞、長年の反復までが作品に含まれます。画面の外にある制作条件を知ると、見え方が変わります。
《Today》は毎日一作ずつ描かれたのですか?
いいえ。制作しない日もあり、一日に二作または三作を完成させた日もあります。一作も完成しない日を含め、機械的な日記とは違うリズムで続きました。
《Today》は実存主義を表した作品ですか?
実存主義を図解した作品ではありません。ただ、制作した一日、過ぎた時間、作家がその場所にいた事実を考えさせるため、存在の問題と結びつけて論じられます。思想名を当てる前に、制作ルールを見る方が作品に近づけます。

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